発行年：2021年
素材：銀 999 Ag（fine silver）
重量：約31.1 g
直径：38 mm
品質：Proof Like
発行枚数：30000

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英領トケラウが世界に発信するルネッサンス絵画の最高峰「モナ・リザ」の限りない魅力

2021年に英領トケラウがリリースしたICONプログラムシリーズの第2弾は、イタリア・ルネッサンスの巨星レオナルド・ダ・ヴィンチの最高傑作「モナ・リザ」こと「ラ・ジョコンド」を裏面に描き、世界的な注目を集めました。ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は現在、フランス・パリのルーブル美術館に所蔵されていますが、そこに至るまでの紆余曲折の物語は非常にドラマティックかつ歴史的であり、一編の上質な推理小説の如くです。イタリアのトスカーナ地方出身のダ・ヴィンチでしたが、新たな職を求めて生まれて初めて故郷を去ったのが1500年代初頭のことでした。向かう先は遠く離れたフランスの国王フランソワ1世の宮廷でした。そこで国王お抱えの画家として迎え入れられたダ・ヴィンチでしたが、その時に最愛の作品「モナ・リザ」を携えてフランス入りを果たしたと言われています。破格の条件によってフランスで職を得た彼でしたが、この作品を片時も手放すことは無く、常に加筆を繰り返しながらも絶えず大切に温めていたそうです。数年間のフランスでの滞在期間を経て、遂にイタリアに帰国することになった時にはこの作品に別れを告げる決心をし、感謝の意を込めて国王に献上したとされています。その時に初めてこの偉大なる作品は永久にフランスが所有するところのものとなり、その後、ルイ14世やナポレオンを始めとする歴史上の人物の居城の壁面を飾り、その栄華と没落を見届けて来ました。21世紀の現在、同作品が勝ち得ている世界的な称賛と人気が、20世紀初頭に起きたこの名作を巡るある事件を源としていることは確かです。1911年に盗難事件に巻き込まれたこの世紀の大作は、その後、ダ・ヴィンチの生まれ故郷であるイタリアにて無傷で発見され事なきを得ましたが、これによって全世界がこの作品に一層注目するに至ります。ダ・ヴィンチが駆使した優れた絵画技法を特徴とするこの座像は、ルネッサンス期を代表する名作として我々の世に受け継がれています。陰影の調子や背景となる景色に見られるだまし絵の技法など、ダ・ヴィンチならではの独創性を強く感じさせることからも今日、有史以来制作された肖像画の最高傑作としての高い評価を確立しています。この魅力的な作品がコイン上に描かれ、世紀を超えて次世代に受け継がれる新たな生命を与えられたことは誠に意義の深いことです。この偉業を成し遂げたのは、全世界に点在するイギリス連合王国の海外領土の一つであるトケラウです。記念コインの発行を主要な財源の一つとする同国ですが、人気コインシリーズの第2弾としてこのダ・ヴィンチの傑作を採用したことは文化的、また歴史的にも的を得たことであると言えます。コインの表面には、昨年9月8日に崩御されたエリザベス2世の右向きの格調高い肖像が描かれており、長年にわたる英国本国とトケラウの協調関係を示唆しています。女王の頭上を飾る宝飾品は、ヴィクトリア朝の後期に挙行された後のジョージ5世とメアリー王妃の婚礼に際して、アイルランドを本拠とする女性の慈善団体が王妃に献上したとされる歴史的に有名な「大英帝国とアイルランドの少女たちのティアラ」です。ロンドンの宝石商ガラードが制作したと伝えられているこの秘宝は、国会の開会式等の公式行事の場に於いて長年女王が愛用していたことでよく知られているものです。トレードマークとも言えるティアラを冠した歴史上の人物である女王の横顔を表面に描き、裏面には歴史上の最高傑作とされる肖像画を掲げる当コインは、本物のみが感じさせることのできる重厚感と最高度の美意識が横溢するモダンコイン界屈指の会心の力作に他なりません。